腸の癌・潰瘍・炎症・憩室で出血している場合、便潜血検査が高濃度陽性なのは勿論です。“潜”血はそんな高濃度からはかけ離れた“超微量”なのに、なぜ測るのでしょう?それは「早期発見」のためです。病変が進んで便中血液が高濃度になる前に内視鏡検査→異常発見→早期治療→根治に結びつけたいからです。
だから、(癌や潰瘍だったら血が出るさ。血なんて無いのに、便検査異常だけで内視鏡検査なんて嫌だ)というお考えは“ブブーッ”。
いくら見ても「無い」のに検査では「有る」。そんな血液のことを、英語圏では“超微量血液”と言わず“不思議な血液”(OCCULT BLOOD)と呼びました。“OCCULT”(オカルト)は辞書で「神秘、不思議、超自然」。他に〈肉眼で見えぬ〉もあります(GENIUS)。
「超微量」「見えぬのに在る」は〈検査の精度〉の話なんですが、そこ(在るのに見えぬ)を「神秘」と言わずに「
(潜血探しは早期発見狙い。じゃあ「軽度陽性」とか「1+」とか聞いた私は、早期でも何でも、とにかく癌ということか?)と落ち込むのはいけません。「陽性なら癌・決まり。+程度なら初期、+が多ければ進行癌」という訳ではない。癌以外でも、血液濃度が基準(〜39.9 ng/ml)を超える場合はいくらもあるんですから。
非癌・基準値超えで多いのはポリープ。腸内面に出来る良性のイボです。内視鏡検査で「癌なし。ポリープ〜個。切除し顕微鏡で非癌」は始終あること。
良性のポリープも微量の血は出てる。その微出血まで潜血検査は拾い上げるんです。便潜血で我々は何を見てるんだろう。細胞の癌化+/−でなく腸内腔の隆起の +/−かも。
けんさ・いいネ!(医師)