「血が出た!」って聞くと、「どーれ、どこが?」と、赤くなった所を探すけど、検査で見てる便の血は“超”微量で赤くなんか見えない。どのくらい微量か。水に赤インク混ぜたらわかります。
〈水1合に赤インク一滴〉だと、ほとんど無色。この濃度は数字にすると、赤インク一滴が0.05g、1合は180 mlだから、0.05÷180で0.00028 g/ml。
便に混じる血の濃さは、便1ml(縦・横・高 各1cm立方)が血を何グラム含むかですが、“超”微量だから「グラム」では言い表せない。
1,000分の1グラム「ミリグラム mg」でも駄目。その1,000分の1、つまり100万分の1グラム「マイクログラム μg」でもまだ大き過ぎ。
そのまた1,000分の1、つまり10億分の1グラム「ナノグラム ng」でやっと…、という気の遠くなるような “超微”の話。
このng/ml単位(1mlに何ナノグラムか)で「水1合に赤インク1滴」の赤インク濃度0.00028g/mlを言い表わすと、280,000ng/ml(28万ng/ml)という大変な数字。
眼で見て「赤い・赤くない」と、検査で血が混じって「いる・いない」はスケールがまるで違うんです。
便潜血検査結果は「−・±・+・++・+++」で表わしますが、この区分とng/mlの関係はふつう、0〜29.9ng/ml:−、30.0〜44.9ng/ml;±、45.0〜124.9 ng/ml:+、125.0〜249.9ng/ml:++、250.0ng/ml:+++ と書きます。
つまり検査で+++でも便に“血が付いて”見えるとは限りません。便の“見た目”と検査結果は別物。量的レベルがまるで違うんです。赤くハッキリ血と判る所を採れば、検査結果は勿論+++です。
けんさ・いいネ!(医師)